【7月9日】〇〇のせい
- 公開日
- 2024/07/09
- 更新日
- 2024/07/09
校長のひとりごと
株式会社人財育成JAPAN代表取締役で作家の永松茂久さんの著書『一流の人に学ぶ心の磨き方』の中に「決断を他者に委ねない」というところがあります。
たとえば、会社を辞めて起業しようとしている人がいるとします。その人は、知り合いに自分が考えている起業のアイデアを話して、「うまくいくと思うか?」とアドバイスを求めます。知人から「おもしろそうだ。ぜひやってみては」と言われたその人は、会社を辞めて起業。しかし、思っていたほどうまくいかず、すぐに行き詰まってしまいます。そのとき、うまくいかないひとは自分にアドバイスをしてくれた知人についてこう言います。
「ああ、あいつのアドバイスを聞いて起業したらとんでもない目に遭った。あいつは本当にひどいヤツだ…」
ここまでわかりやすい話ではなくても、この「他人のせいにする病」にかかっている人はたくさんいます。
「自分が出世できないのは、あの上司のせいだ」
「企画がうまくいかなかったのは、予算をくれなかった会社のせいだ」
「就職できないのは、社会のせいだ」
こういう考え方をする人は少なくありません。自分に決定権のない子どもならまだわかります。しかし大人になってからも、ずっと「あの人が悪い」「あの人のせいだ」と言い続けているのはいかがなものでしょうか。「○○のせい」と考える習慣を持ち続けるかぎり、けっして幸せはやってきません。
一流の人は、人間関係も、自分の進むべき道も、日々の行動も、結局はすべて自分が選んだものであり、すべての責任は自分にあるということを知っています。誰から何かをすすめられても、気乗りしなければ断ればいいのです。一流の人は他人に流されず、自分の心に従って決断します。
「迷ったらゴー」という言葉がありますが、一流の人は、迷ったときには止まります。本当に進むべき道ならそもそも迷うことがないからです。「心の声」を聞いて、違和感があるときは立ち止まってみてください。すべての決定権と責任は自分にあるのですから、止まるのも進むのも自分自身で決めればいいのです。
人生の決断を他人任せにしてしまうと、こうした「心の声」を感知するセンサーも鈍ってしまいます。一度きりの人生。主人公は他人ではなく、あなた自身なのです。
いかがでしょうか。私も今まで何度も迷ってきました。今も迷うことがあります。ですから、人に相談したり、助言をいただいたりします。しかし、結局決めるのは自分ですし、そのあと行動するのも自分です。時に、他人のせいにしたくなるようなこともあるし、つい愚痴ってしまう自分がいたりしますが、それでも結局は自分で決断したことであれば、自分で改善策を探し、周りの方々の協力を得ながら、実践や行動に移すしかないのです。
中学3年生の子どもたちはこれから、卒業後の進路を選択し、自分自身で切り開いていかなければなりません。明日の「上級学校訪問」をはじめ、今後のオープンスクール等への参加、進路学習などを通した情報収集、そして保護者や先生方からのアドバイスも聞きながら、最終的には自分で決めていくしかありません。
時々「親が○○高校へ行ってほしいと言うから、○○高校にします…」と、進路相談などで答える子どもがいましたが私は、「あなたは、どうしたいの?」と必ず聞きました。結局、自分の意志で決めないと、進学したあと苦しいことやつらいことがあったとき、「自分で決めて、自分が選んだことだから」と本質と向き合わず、「親が言ったからこの学校に来ただけ。本当はイヤだった」と言って“逃げ”に走ってしまうことがあるかもしれません。
最後にも書かれていますが、自分の人生の主人公は自分自身。だからこそ、迷いながらでいいから、前向きに、そして真剣に考え、最終的には自分で「決断」し、それぞれの道へ、ステージへ進んでほしいと思います。