【7月10日】のに…
- 公開日
- 2024/07/10
- 更新日
- 2024/07/10
校長のひとりごと
今日も永松茂久さんの著書『一流の人に学ぶ心の磨き方』からです。
「してあげる」から不幸になると心得る
二流の人はよく、「○○してあげましょうか?」という言葉を使います。一見、好意的な「してあげる」という言葉の裏には「自分のほうが相手より上にいる」という心理が隠れています。ですから、一流の人は「してあげる」ではなく、「させてもらう」という言葉を使います。彼らは相手を一人の人間として尊重し、謙虚な心を持って接しているので、自然と「させてもらう」「手伝わせていただく」という言い方になるのです。
また、相手からのお礼の言葉やお返しなどの“見返り”がないと「やってあげたのにけしからん!」と考えてしまう人は多いものです。しかし、一流の人は相手に何かを施しても、見返りを期待することはありません。相手のことを考え行動した時点で、「徳」という人生で最も大切なものを「いただいている」ことを心得ているのです。
見返りを求める人は、相手に振り回されて自分を見失うことになります。相手があなたに感謝するかどうかは、相手の「ゾーン」の話であって、あなたがどうこうできる問題ではないのです。
一流の人は、小さな言い回しにも気を遣う…
関連して、相田みつをさんの『にんげんだもの』の中にこんな詩があります。
あんなに世話をしてやったのにろくなあいさつもしない
あんなに親切にしてあげたのに
あんなに一生懸命尽くしたのに
のに…のに…のに…
〈のに〉が出たときはぐち
こっちに〈のに〉がつくと むこうは「恩に着せやがって…」と思う
庭の水仙が咲き始めました
水仙は人に見せようと思って咲くわけじゃないんだなあ
ただ咲くだけ ただひたすら…
人が見ようが見まいが そんなことはおかまいなし
ただ いのちいっぱいに自分の花を咲かすだけ 自分の花を…
花はただ咲くんです
それをとやかく言うのは人間
ただ ただ ただ…
それで全部 それでおしまい それっきり
人間のように〈のに〉なんてぐちはひとつも 言わない
だから 純粋で美しいんです
自分自身の心の狭さを見透かされているかのようなお二人の言葉です。「してあげる…」「してやったのに…」、そう思ってしまう私はまだまだ未熟です。
「おかげさまで」「させていただいている」、そういう気持ちでさせていただいたことが少しでも誰かの役に立っているとするならば、それだけで有り難い。微力な私が手伝わせていただいたことだけで、人間にとって大切な「徳」をいただける…それだけで有り難い。「のに…」の前に、感謝の気持ちをもつことができれば、人として成長できるのだろうと思います。