【3月17日】運
- 公開日
- 2025/03/17
- 更新日
- 2025/03/17
校長のひとりごと
人間学を学ぶ月刊誌『致知』からです。
『人間における運の研究』…と題して本を出版し、十万部を超すベストセラーになったことがある。故・米長邦雄氏が挑戦7回目、50歳目前に名人位を獲得した時である。
50歳での名人在位は空前のことだっただけに、世間も沸いた。そのタイミングで渡部昇一氏と対談していただいたのである。予想通り、本はヒットした。副題の「幸運の女神はどういう人にほほえむのか」のフレーズも人の心を捉えたのかもしれない。米長氏は、運をよくするには心がけが大事だといい、幸運の女神は謙虚さと笑いが好きで、そういう人にほほえむのだと言われた。そして、「人をうらむ。にくむ。ねたむ。そねむ。ひがむ。やっかむ。…そういう気持ちを持っている人に運はついてこない」と断言された。
渡部昇一氏は幸田露伴の『努力論』から幸福三説こそ、運をよくする心得だと説かれている。
幸福三説とは惜福(せきふく)・分福(ぶんぷく)・植福(しょくふく)であり、第一に大事なのは惜福で、「幸福によく会う人をみると、惜福の工夫がある人である」と露伴は言っている。惜福とは、たまたま自分に与えられた福を使い尽くし、取り尽くしてしまわない、ということ。そういう人に結果として福が回ってくるようだ、というのである。現実の問題として納得させられる話である。
分福とは自分にきた福を独り占めにしないで人に分け与えるようにする。この分福の工夫によって、より大きな福がくることになる。
植福とは、例えば裏山に杉の苗木を植える。杉が大きくなる頃、自分は老いて死んでいるかもしれないが、子孫に役立つこともあると思って木を植えておく、というようなことである。
以上が露伴の幸福三説で、この工夫があれば運はめぐってくる可能性が高いようだと、渡部氏は語っている。…(後略)…
「運がいい」「運が悪い」…私たちは、そんな言葉を口にすることがあります。現在、日本に来日している大谷翔平選手が球場に落ちているゴミを拾うことに関して、「ゴミを拾うことで『運』を引き寄せ、謙虚さと感謝の気持ちを大切にしている」と言われます。他にも、「運」に関して、様々な方が次のような言葉を言われています。
■私は決して強い人間ではありません。ただ、運があった。その運は努力をしている人間にしか来ない。[白鵬(元大相撲第69代横綱)]
■ボクは『石の上にも5年』と考えて耐えました。なぜって、我慢こそが『運』を呼び込むからです。[萩本欽一(コメディアン・司会者)]
■人は幸運の時は偉大に見えるかもしれないが、向上するのは不運の時である。[ジーコ]
■幸福や幸運は、積極的な心持ちの人が好きなんです。[中村天風(思想家・自己啓発講演家)]
■『自分は運が悪いなあ』と嘆くのは簡単。しかし不運には必ず、それなりの理由がある。そして幸運にも、それ相当の過程がある。[野村克也(元プロ野球選手・監督・解説者)]
■運は運ぶという文字です。なるべく遠くへ足を運ぶことで、より大きな運気を得る事ができます。[島田秀平(お笑いタレン・YouTuber・作家)]
■よい人に交わっていると、気づかないうちによい運に恵まれる。[安岡正篤(哲学者・思想家)]
■運がいいと、いろんな人と出会える。その人との関わりを大切にすれば縁ができ、その縁を大切にすることでツキまで回ってくる。[笑福亭鶴瓶(落語家・司会者)]
様々な世界で、一流と呼ばれる人、素晴らしい業績を収められている人の言葉には重みがあります。やはり、「出会いや縁を大切にすること」「“福”を独り占めせずに分け与えたり広げたりすること」「日頃から努力をし続けること」「前向きな気持ちや積極的な心持ちでいること」「きついこと苦しいことにも我慢し乗り越えること」…そして、『不運』と思えることでも受け止め、精進することと成長し、運が訪れるのかもしれません。
皆さんは「運」について、どう思われますか?