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【5月23日】“三猿”ではなく…

公開日
2025/05/23
更新日
2025/05/23

校長のひとりごと

 5月19日付、日本教育新聞のコラム『不易流行』からです。


 修学旅行だろうか。子どもたちが、日光東照宮の三猿の前でガイドの説明を聞いている。人の成長を表した八面の彫刻の一つであると初めて知る子もいるようだ。「見ざる、言わざる、聞かざる」。この世の中で「悪いことを言わない」だけは自律的な行動を促すことができる。他の二つは、意図しなくても自然に目や耳に入ってくる。

 子どもたちは大人と同じ現実世界に生きているのだ。何が悪くて何が良いことなのか、それを学ぶのが教育である。これは学校以外で見聞きすることも同様で、社会のありようが大きく影響する。

 他者の話を聞かない強気な大人が目立つ。それが正義であると信じているのか、実は小心者なのかもしれない。他者がおかしいと指摘しても、聞く耳を持たなかった自分は正しいと言い切ったりする。そんな姿を見て子どもたちはどう思うのだろう。偉くなれば何でも思い通りになるのだという誤った認識を持たないだろうか。

 「多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越える」とう方向性は、次の学習指導要領でも変わらないだろう。大人には、それを体現していく姿、学び続ける姿を見せていく責任がある。

 電車に乗れば、スマホでゲームなどに興じる大人たちの姿が目に入る。「大人になれば勉強しなくていいんだ」という無言のメッセージになりはしないか。


 変化のスピードが激しく、未来が予測困難なこの時代こそ、様々な人と互いにコミュニケーションをしっかりととりながら、相手を理解し、尊重し、協働して課題解決に向けて努力していくことが大切なのだと思います。

 また、私が参加した昨夜の研修会の講師の先生が「子どもと教師の学びは相似形」だと、おっしゃっていました。すなわち、子どもたちが“学び続ける人”であるためには、私たちが“学び続ける教師”でなければならないということです。そして、多様な子どもたちそれぞれが学び続け、学びが繋がり、変化が激しく予測困難な未来を担って、支えていく存在になれるように支援していくことが大切であると話されていました。

 もちろん、コラムに書かれていることをそのまま捉え、大人だからゲームをしてはいけないとか、休んではいけないとかではないと思います。人は息抜きも大事ですし、趣味や好きなことをすることによって、気持ちもリフレッシュでき、それがよい仕事への活力にもなっていくと思いますから。ただ私は、“学び続けること”“チャレンジし続けること”はとても大事であるし、それが自分自身の“成長”に繋がっていくことを伝え続けたいと思います。

 同時に、私たち教師は、子どもたちをよく見て、子どもたちの話をよく聞いて、しっかりと褒める(言う)こともとても大事なことだと改めて思います。


(ひとりごと 第1022号)