【10月7日】命を輝かせる教育
- 公開日
- 2024/10/07
- 更新日
- 2024/10/07
校長のひとりごと
ガザでの戦闘が今日で1年になるとの報道があっていました。あっという間の1年です。そしてロシアのウクライナ侵攻は2年7ヶ月を過ぎています。ガザでは死者が41000人超、イスラエルでは1400人超、ウクライナでは兵士が3万人以上、民間人が7000人超、ロシア兵は何万人とも何十万人ともいわれています。どちらも終わりの見えないものとなっており、どれだけの犠牲を払えばいいのかと思います。また、イランがイスラエルへの多数の無人機やミサイルによる大規模な攻撃に踏み切り、中東では「全面戦争勃発か?」との報道もあっています。世界情勢は非常に不安定な中、これから私たち一人一人が様々なことに関心を持ちながら、自分のできることを常に考えて行動ができるようにしなければと思います。
土日は、子どもたちが各会場で筑紫区中体連新人大会に臨み、精一杯にプレーを見せていました。筑前地区大会に進む部活動、残念ながら進めない部活動様々なではありますが、それぞれの課題を今後の練習にいかしながら、また次へ向けて一歩一歩努力を続けてほしいと思います。区大会は今週土曜日、女子バスケットボール部の準決勝、そして剣道部団体戦、バドミントン団体戦が行われます。健闘を祈ります!
さて、人間学を学ぶ月間誌『致知』に東北福祉大学元特任教授の国分秀男先生(80歳)と、福島成蹊学園理事長・校長の本田哲朗先生(71歳)の対談が載っていました。実は、二人とも古川商業高校(現・古川学園中学校・高等学校)の教諭として、一緒に働かれています。国分先生は、古川商業時代には、地区予選でも勝てなかった女子バレー部の監督をされ、その後、全国大会出場77回、全国制覇10回という実績を残された偉大な指導者です。また、本田先生は、「バレー日本一」であるならば、きっと学力や進路実績でも日本一になる土壌はきっとある!と信じ、商業科のみの古川商業に「普通科進学コース」をつくり、自分ができることをすべてやって学力や進学実績を伸ばしてこられました。その後、定員割れをするなど厳しかった福島成蹊学園に教頭として赴任され、学力向上に徹底して取り組み、ついには東大理科三類の他最難関大学への進学者を次々に輩出する学校へと尽力されています。お二人の対談からいくつかの言葉を紹介します。
【国分秀男先生】
◆(地方の子どもたちの能力が都会の子どもたちに比べ劣るという人もいたが…)人間の素の部分は大差ない。何の差か?といわれれば「意識」だと思う。尊敬する稲盛和夫さんが「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」と言っています。このうち、熱意と能力はゼロ点から百点までだけれど、考え方はマイナス百点からプラス百点まで幅がある。考え方すなわち「意識」が低いと人生はなかなかひらけない。
◆「東洋の魔女」と言われた日本女子バレーの大松監督は、体も小さい、練習時間が限られた中で、知恵を絞り、工夫をこらして努力を重ねれば、世界の頂点にも立てることを知りました。
◆若いときに勤めていた京浜女子商業時代、高校卓球界で日本一になるチームをつくられていた監督さんに「分ちゃん(国分先生)は心が温かくて一所懸命だからいい先生にはなるだろうけど、日本一にはなれないだろうね。だって、あんたの言葉には夢がない、力がない」と言われました。それで、言葉に力を持たせなければと意識し実践したのです。
「言葉」は「意識」を変え、「意識」は「行動」を変え、「行動」は「結果」を変えるんです。
【本田哲朗先生】
■第一に意識したのは、私自身が諦めないことです。教師というのは、目の前の生徒以外は教えられません。そこにいる生徒がすべてです。この命を輝かせることですべてが始まる。この一心で取り組みました。
■(本田先生の徹底した取組に対して音を上げる子はいなかったか?の質問に…)一番多かったのは、やりもしないで途中で投げ出す子です。そういう子を目覚めさせる第一歩は「やらないことを許さない」ことです。何事もやらなければできない、当たり前ですよ。初めは「きょうはここまでやらないと帰さない」と半強制的に…(笑)
■(生徒を連れて女子バレーの大会を応援に来ていた本田先生に、国分先生が学業と一緒に人間力を伸ばすのがすごい!と言われて…)「一流のものを見て、一流の人間になれ」が私の持論でした。日本一を争う選手たち(バレー部の子たち)って一挙手一投足が違う。それを体で感じ取ってほしかった。その応援の時の全力で応援させました。その応援団長は普通の生徒なのですが、なぜかそういう場で殻を破った子が東大に合格していく。受験も最後はメンタルなんですよね。
孟子の「思則得之[思えば則(すなわ)ち之を得る]」が私の座右の銘ですが。この言葉のように、強く思うことで何事もなし得るんです。
私たちは、子どもたちの命を輝かせる教育をしていかなければなりません。お二人の言葉から、私たち教師そして大人が決して諦めないこと、心を育て人間力をつけること、人との出会いを大切にし、いいこともどんな困難も自分のチャンスや糧としていかしていくこと、そして何より、子どもたちを信じ続けることが大切なのだと思います。