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【10月12日】負けず嫌い

公開日
2023/10/12
更新日
2023/10/12

校長のひとりごと

 昨夜のニュースのトップは「藤井聡太七冠」が永瀬拓矢王座を破り、3勝1敗で王座を奪取し、史上初の「八冠」となったことでした。今朝の新聞の一面にも大きく取り上げられていました。同じ名字というだけなのに、何となく誇らしく思ってしまう私です…。
 それにしても、とてつもない快挙です。
 5歳で将棋と出会い、わずか14歳2ヶ月でプロとなり、デビューしてからは史上初の29連勝。初タイトルをとってからは3年で8つのタイトルを総なめにする快挙。わずか7年で、誰もなしえなかったことに到達したことになります。師匠の杉本昌隆八段が次のようなことを話されていました。
「彼は、小さいときから将棋が大好きな少年。そしてとても負けず嫌い。負けると、将棋盤の前で泣き続けるほどだった。彼は、タイトルをとることというより、目の前の勝負に勝ちたいという一心で将棋をしている。また、周りからはすごく努力していると言われるが、彼にとってみれば好きだから、時間があれば将棋のことを考え、将棋に取り組んでいるだけだと思う」。

 また、他のライバル棋士などからは、
「藤井さんは、以前から後半の粘り強さは素晴らしかったが、序盤に隙があり勝つチャンスがあった。しかし、最近は序盤からも隙がなくなり、勝つことがとても難しくなった」
 とも話されていました。いち早くAIを取り入れ、序盤の「隙」を埋めていき現在はAIを超える将棋をされているとも言われる藤井さん。八冠達成後のインタビューで
「すごくうれしく思っています。ここ1年はタイトル戦の結果はよかったが、それに見合った力があるかというとまだまだなので、引き続き実力をつけていきたい」
 とコメントされていました。常に謙虚であり、そしてまだまだ将棋を突き詰めていく意欲に溢れていました。

 今朝の西日本新聞には以下のようなことが載っていました(抜粋・要約)。
 幼少期に通った愛知県瀬戸市の「ふみもと子供将棋教室」を主宰する方が
「教室で一番泣いていた。盤を前に読んでいるときの瞳。小さいながらほれぼれした。集中力がすごくあるのでしょうね。思考している表情がよかった」と。
 小学生になり、子ども大会に出場するようになり、負けると人目もはばからず泣きじゃくった。悔し涙と敗戦をバネに「負けず嫌いの子」は研究し努力し着実に強くなっていった。そして、足りなかった経験と序盤・中盤の緻密さを磨いていくために取り入れたのが「人工知能(AI)」。形勢を数値化してくれるAIを味方にしながら、研究に研究を重ねた。そして最年少でプロへ。

 それからの活躍は皆さんご存じの通り、数々の最年少記録を打ち立て、知らない人はいないくらいの有名人となりました。藤井さんの人気のおかげで、将棋ファンも増え、その普及にも貢献されています。“勝負めし”が注目されたり、藤井さんを特集した雑誌が大売れしたり、ネット配信番組の視聴者が激増したりと、その経済効果も大きなものとなっています。

 あるニュースキャスターがこんなことを言っていました。
「藤井さんは、大谷翔平選手に通じるところがありますよね。大谷選手が根っからの“野球少年”であるように、藤井さんは根っからの“将棋少年”。周りから見れば、とてつもない努力だとしても本人はいたって普通。好きだからやってるだけ。しかし、そのおかげで誰も成し得なかった偉業を成し遂げています。また、将棋はたいへん奥が深い。最新のAIをもってしても解決できないのが将棋だと言われています。だから、藤井さんはもっともっと研究されていくのではないかと思います。今後のさらなる活躍が楽しみです!」

 藤井さんは、「好きこそものの上手なれ」を体現されている最たる人だと思います。負けず嫌いで研究熱心で謙虚な藤井さんは、これからもますます活躍されるだろうと思います。
 “八冠”達成、本当におめでとうございます!