【11月9日】多様性
- 公開日
- 2023/11/09
- 更新日
- 2023/11/11
校長のひとりごと
日本教育新聞のコラム『不易流行』に次のようなことが載っていました。
「界門綱目科属種」。学生時代、呪文のように覚えたリンネ式階層分類体系。人類は「分ける」ことを通して、生物界を整理し、科学を発展させてきた。まさに「分ける」は「分かる」ことであった。分類学の本来の目的は生物の多様性を理解することにある。一方、人類の社会では「分ける」ことを通して、単純化や画一化を図り、心理的安定を保ってきた。ここには人類の生物としての弱さがある。自分と他者を明確に分けることで、自らの優位性を示そうとしているのだ。人種や国籍、宗教、性別などで単純に分けようとするから多様性に目が向かなくなる。さらに、自分と同じ仲間で徒党を組み、他を排斥する動きを強めていく。こうして少数派は社会的弱者となっていく。いくら多様性の重視が叫ばれても、「自分とそれ以外」と多様性を理解しているようでは何も変わらない。自らも多様性の一部であると理解して初めて包摂性(ほうせつせい)の思考が生まれる。多様性の理解には多様な視点が欠かせない。特に我が国はその地政学的要因から、自分と異なる者を異質と捉え、排除しようとする考え方が強い。それが同調圧力となり、生きにくさを生んでいる。これからは、「分けて分かる」という思考から「自分との共通点を見いだして分かる」(共感する)という思考への転換が必要ではないだろうか。
2021年夏に開催された「東京オリンピック」の大会ビジョンの一つが「多様性(ダイバーシティ)と調和(インクルージョン)」でした。「多様性」の意味を調べると、「幅広く性質の異なる群が存在すること。性質に類似性のある群が形成される点が特徴で、単純に『いろいろある』こととは異なる」とも書かれています(少し難しくなりました…)。この言葉が昨今いろいろな場面で使われていると思いますが、互いを認め尊重しあうという願いも込められていると思います。
皆さんもよく目にする「SDGs(持続可能な開発目標)」の中では「誰一人取り残さない」ということが書かれています。このことからも多様性を認めあい、すべての人が大事にされる考え方が「多様性」であるとも言えます。
コラムの中で述べられている「多様性の理解には多様な視点が欠かせない」、「自分との共通点を見いだして共感する」ことが重要だと私は気づかされました。単に、「違いを認める」だけでなく、共通点やよさに目を向けることができれば、世の中はもっとよい方向に向かうのではないかと改めて思います。
※子どもたちは、明日から後期中間考査となります。時間を有効に活用し、家庭学習にしっかりと取り組み、明日のテストに臨んでほしいと思います。がんばれ!大東生!!