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【12月8日】それぞれのエベレスト

公開日
2023/12/08
更新日
2023/12/08

校長のひとりごと

 月刊誌『致知』に冒険家の三浦雄一郎さんのインタビュー記事が載っていました。三浦さんは現在91歳。世界最高峰のエベレストに三度登頂を果たし、80歳7ヶ月での登頂は史上最高齢としてギネス世界記録に認定されています。2020年に百万人に一人いわれる難病に突如倒れ、要介護4の認定、一時は首から下がまったく動かない状態でした。それでも、常に目標を持ち、懸命なリハビリとトレーニングを積み、今夏90歳で富士山登頂を成し遂げられました。脳梗塞や難病をも乗り越え、今もトレーニングをして次の目標に向かっている三浦さん。登山においても幾度となく死に直面する体験を通じて、人間には自分の意志を超えた「天命」があると話されています。自分の強い意志だけではどうにもならないことがあっても、“おまえはまだ生き続けろ”という目には見えない力が働いて生きていることができる。その天命をありがたく受け入れ、全うしていくことが大切だとおっしゃっています。
 「九十一年歩んできて、人生で一番大切なものは何だと感じられるか」の質問に、三浦さんはこう答えています。

 山にはクレパスと言って、氷河や雪渓(せっけい)などに形成された深い割れ目が潜んでおり、そこに滑落して命を落とす登山家もいます。僕は人生とはクレパスだらけであると思っています。よいこともあれば悪いことも起こる。いつアクシデントが発生するか分からない。
 クレパスのような逆境や試練に直面し、人生に絶望しそうな時であっても、絶対に諦めない心を持ち続け、目の前の壁を乗り越えられると信じて、一歩ずつ積み重ねていく。そうすれば必ず前進し、いつしか道は開けるんです。
 人間にはそれぞれのエベレストがあります。どんな人でもそれぞれの職業や年齢、立場、その時に置かれた状況において、自分にできる最高の目標を目指し、そこに向かって挑戦を続けていくことが大事ではないでしょうか。何歳になってもそういう人生を歩みたいと自らに誓っています。

 91歳でもなお「冒険家」としてチャレンジし続けている三浦さんの深い言葉です。一昨日のひとりごとに載せた「ダイソー」の矢野さんしかり、三浦さんしかり、逆境や困難、様々な壁を諦めることなく乗り越えていくことが、人生においていかに大切かを教えてくれています。