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【2月29日】お礼上手

公開日
2024/02/29
更新日
2024/02/29

校長のひとりごと

 昨夜のニュースや今朝の新聞などでも報道されていますが、能登地震により自宅に住むことができず、様々な事情から「車中泊」をしている方々が、石川県内で少なくとも141人いるとのこと。また、輪島市ではビニールハウスや身近な場所で自主避難所として生活をされている方々が31ヶ所380人いるとの報道も。今まで届けられていた支援物資も昨日で打ち切りとなり、今後は自分たちで市が運営する指定避難所に取りにいくことになります。仮設住宅の数も不十分であり、仕事の都合で遠方への避難も厳しい…そのため自主避難や車中泊を続けるしかないような厳しい状況が続いています。
 車中泊については、「エコノミークラス症候群」の発症リスクを高めるといわれています。狭い空間で同じ姿勢を続けることや水分不足が原因で、脚の静脈にできた血栓(血のかたまり)が肺の血管に詰まる病気です。命を落とす危険もあります。熊本地震では、災害関連死170人のうち、4人に1人が車中泊を経験したことがわかっています。今朝の讀賣新聞の記事に、新潟大学の楱沢和彦(はんざわかずひこ)・特任教授の指摘が載っていました。
「車中泊はあくまで避難所が準備できるまでの間、応急的に利用するもの。体への負担を考えると、2週間が限度だ」
 地震から2ヶ月が経とうとしている中でのこの状況は、非常に危機的なものであることがわかります。さらなる手厚く迅速な支援、復旧・復興が待たれます。

 話は変わりますが、エッセイスト 松浦弥太郎さんの著書『伝わるちから』の中に「“ありがとう”のその先」というところがあります。

 日々の暮らしや仕事の中で、誰かに何かをしてもらうことは多いだろう。近所の人にいただきものをしたり、会社の先輩に仕事について話をしてもらったり、食事をごちそうになったりと。それらをあたかも普通のことのように、ひとことの「ありがとうございます」で済ませてしまうのは残念なことだ。もちろんその時はそれでよいだろう。大切なのは、次の日のお礼である。改めて「昨日はありがとうございました」と伝え、してもらったこと、いただいたものの感想を具体的に伝えるように心がけたい。
 人は皆、自分がしてあげたことに対して、それが相手にとってどうだったのか。果たして喜んでくれたことだったのか。どう受け取ってくれたのかを知りたいものである。ひとことの「ありがとうございます」だけでは、それは伝わらない。
 たとえば、出かけた先でおいしいお菓子を見つけ、みんなに差し入れしようと会社に買って帰る。それを食べた人には、当然お礼を言われるだろう。そして、ある一人から、そのお菓子がどんな味で、どんなにおいしかったのかと、次の日に、改めてお礼と一緒に、具体的な感想を伝えられたら嬉しくなるだろう。そんなことを期待して人に何かしてあげるわけではないが、上手にお礼をされると、もっとその人に何かをしてあげたくなるのが、人の心というものである。暮らしにおいても仕事においても、豊かな人脈は必要なのである。人脈のある人はとにかくお礼上手である。お礼上手な人は必ず大事にされる。

 こちらが恐縮してしまうくらい丁寧なお礼をしてくださる方がいます。そして、松浦さんの仰るように、次の日やまた別の機会に、具体的にコメントとともに感謝を伝えてくださる方がいます。とても礼儀正しく素敵な方だと思います。有り難いと思います。そして、こんなに喜んでくださるならまた何かの時に、少しでも喜んでくださるようなことをしよう…などと私は思います。同時に、自分自身の感謝の気持ちの足りなさや、無礼が恥ずかしくなります。やはり、感謝の気持ちや謙虚さ、礼儀正しさは、よりよい人間関係を築く上でもとても重要だと思います。“お礼上手”なその人は、きっと上手にしようというよりは、純粋に感謝をし、素直にお礼や感謝の言葉を伝えていらっしゃるだけなのだろうと思います。
 そんな“お礼上手”に私もなれたらと思うのですが、なかなか……