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【3月14日】春の雨

公開日
2025/03/14
更新日
2025/03/14

校長のひとりごと

 大野東中の前庭には、春の訪れを知らせてくれる梅の花が咲いています(写真)。花言葉は「高潔」「忠実」「忍耐」。寒い冬を乗り越え、かわいらしく気品ある梅の花から、そうなっているのでしょうか。

 今日は小学校の卒業式でした。私は大野北小学校の卒業式に出席させていただきましたが、穏やかな天気の中での素敵な卒業式でした。子どもたちの思いのこもった返事や別れの言葉、歌などを聴きながら、あたたかな気持ちになりました。4月から中学生になるこの子どもたちの前途が素晴らしいものとなるように願うとともに、迎える側の中学校でもしっかりと準備をしていきたいと思います。

 さて、3月13日付、読売新聞のコラム『編集手帳』からです。


 春の雨には多彩な呼び方がある。花の咲くのを促す「催花雨(さいかう)」、桜が咲く頃に降る「桜雨(さくらあめ)」、杏が咲く頃の「杏花雨(きょうかう)」…といったものに詩歌で出会うことがある。

 北海道では初めて雪を交えずに降る雨の日を、「雨一番」と呼ぶという(「日常の気象事典」東京堂出版)。現在は口にする人が少ないだろうけれど、札幌気象台は昭和半ばから30年間、雨一番の記録を取り続けた。平均は札幌で3月15日だという。

 草木を育てる春がようやく日本列島を覆いつつある。ここまで來のに太平洋側は極度の乾燥に見舞われた。岩手県大船渡市では山林火災という爪痕を残した。結局、山火事は人の手で消すことはできなかった。消防車が火の場所まで行けず、ヘリによる放水にも限界があった。雨に救われるまでの1週間で避難者は市の人口の1割以上に達した。

 乾燥は寒気が連れてくる。春先まで冷え込んだのは北極の大気が温暖化で緩み、南下した影響が大きいといわれる。山林火災を招く乾燥に今季限りという予測はない。これからは春の雨に花々の成長ばかりでなく、息災の願いを込めることになるかもしれない。

 ※息災(そくさい)…仏の力によって災害や病気などの災いを消滅させること


 農耕が盛んだった古代の日本では雨はとても大切なもので、この雨を様々な呼び方で表現していました。皆さんのよく知っている「大雨」、「小雨」、「霧雨」、「雷雨」、「土砂降り」などの他にも、「驟雨(しゅうう:突然降り出す雨。にわか雨)」、「霖雨(りんう:何日も降り続く雨)」、「冷雨(れいう:冷たい雨)」、「天泣(てんきゅう:雲がないのに降る雨)」、「御山洗(おやまあらい:富士山の閉山の頃に降る雨)」、「外待雨(ほまちあめ:限られた地域に降るにわか雨)」…など150種類以上あります。その中で、コラムにあるような春の雨を表す言葉、夏の雨、秋の雨、冬の雨を表す言葉がたくさんあるのです。雪の呼び方にも様々あることを以前お伝えしましたが、日本人は、風情や情緒などを見事に表現してきたことがわかります。農耕だけでなく、私たちが生きていく上で必要不可欠な「恵みの雨」が、時に、災害につながるようなこともあります。一方で、人間の力ではどうにも食い止めることができなかった大船渡市の「山林火災」を唯一止めてくれる大きな助けとなったことも事実です。自然とは“感動”であり、“驚異”であり、“脅威”でもあり、人知を超える壮大なものであると思います。自然の脅威は、人間のエゴや自己中心的な考えや行動によってもたらせていることも事実です。私たち人間は、これからの未来に向かって、自然とどのように付き合い向かい合っていくのか、世界中の一人一人が考えていかなければいけない問題であると思います。