【2月26日】あれから2年…
- 公開日
- 2024/02/26
- 更新日
- 2024/02/26
校長のひとりごと
一昨日2月24日で、ロシアのウクライナ侵攻からちょうど2年が経ちました。昨日の讀賣新聞『編集手帳』には関連して次のようなことが載っていました。
作家の井上靖は、「ふるさと」に結びつく言葉を愛した。古里、故郷、故園(こえん)、郷関(きょうかん)…とりわけ、論語の「父母国(ちちははのくに)」という呼び方を好んだ。どの国の言葉であっても、ふるさとの表現は美しいものをいっぱい着けていると、詩文集に記している(『遠征路』集英社)。ふるさとは、代々育まれてきた心のよりどころだと言っていいだろう。砲弾にうがたれたウクライナの公園で、家族の思い出が不幸に上書きされたと嘆く女性の涙に胸を締めつけられる。ロシアが侵略を始めて2年たった。数え切れない命と暮らしを犠牲にしながら、戦況は膠着(こうちゃく)している。打開の予兆すらない。現地から伝えられるニュースに、歳月の非情を突きつけられる。飛来するミサイルと無人機の音を聞き分けられるようになったという人がいる。昼夜を問わず空襲サイレンは鳴り、それでも仕事や食事の手を止めない人がいる。恐怖に慣れつつあるのか、諦念(ていねん:あきらめの気持ち)か。戦禍が生活を黒く塗りつぶし、新しい日常になっていくようであまりに悲しい。人々の心のよりどころが、砲弾によって瞬時に失われ、時間をかけて奪われてもいく。残酷が極まる。
2月24日付けの西日本新聞の1面には「ウクライナ 先見えぬ持久戦」というタイトルで次のようなことが書かれていました。
両軍の戦死者は19万人以上、ロシアは攻勢を強め、戦場の主導権を奪い返した。米国の支援停滞で弾薬不足に陥ったウクライナは現在の防衛戦を維持して敵の弱点をピンポイント攻撃する「積極的防衛」戦略への転換を図る。全土奪還の旗印は変えずに反撃の機会をうかがうが、ロシアの防衛戦突破は至難の業で、持久戦が長期化する見通しだ…
米紙ニューヨーク・タイムズによると、ウクライナ軍の死傷者は少なくとも17万人と推計され、疲弊(ひへい)した前線兵士は交代を待ちわびている。軍は50万人規模の動員が必要とするが、政権は国民の不満を高めると慎重だ。政治と軍の間にあつれきが生じている…
記事を読んでいるだけで、どれだけ厳しい状況かがわかります。かけがえのない命が両国共に奪われ、特にウクライナでは日常の平穏な生活を失った人、“ふるさと”を奪われた人がどれほどいるかと思うと胸が痛みます。そして、あっという間に2年の月日が流れ、その終わりはまったく見えない。世界を見渡せば、2年どころではなく、十年以上、数十年に渡って今も続いている内戦や紛争もあります。いったいどうすれば平和的な解決に至るのか…と考えると、それはとてつもなく難しい問題であると思います。ただ言えることは、最も大切な「命」が今も奪われ続けていること。多くの命や生活を奪っていく争いの「勝者」とはいったい何なのか…。本当に考えさせられます。
私たちが個人でできることはそんなにないとは思います。まず、知ろうとすること(関心をもつこと)、そのことを伝えたり話したりすること、募金や物資を送るなどの支援をすること、当たり前に感謝し身の回りの人に思いやりをもって接すること…そんな小さなことを積み重ねていくことが大切ではないかと思います。